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MSVシリーズ

モビルスーツバリエーション (MOBILE SUIT VARIATION: MSV) は、アニメ『機動戦士ガンダム』をはじめとする「ガンダムシリーズ」において、アニメ作品中に登場したモビルスーツ等に対する先行試作機、局地対応型、専用機(パーソナルカスタム機)などのバリエーションの総称。および、バンダイとサンライズのタイアップによるプラモデル中心のシリーズ企画名である。「モビルスーツバリエーション」という言葉が長すぎるため、略称のMSV(エムエスブイ)を用いることが多い。

概略

シリーズとしての『モビルスーツバリエーション』 (MSV) という言葉は時と場合によって指す範囲が異なるが、概ね以下の通りである。
プラモデルシリーズとしての『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション』。
1.及び、雑誌連載とそれを収めた資料集を含める企画全体としての『モビルスーツバリエーション』。
2.だけでなく、『MS-X』シリーズを始めとする、アニメ以外の一年戦争に付属するゲームや漫画、資料集などによる設定全てを含める場合。
一年戦争以外の『モビルスーツバリエーション』シリーズ全てを総括した呼称。
最初の『モビルスーツバリエーション』シリーズはアニメ『機動戦士ガンダム』に付随するもので、同作品の劇場版が公開された後、バンダイとサンライズのタイアップによるプラモデル中心の企画として始められた。プラモデル化第一弾は「1/144 高機動型ザクII」。アニメに登場する機体に対してのバリエーションや、より掘り下げた機体設定、エースパイロットの設定が追加された事で一年戦争という舞台の世界観が広がり、作品自体にも深みが増す事となった。この事でガンダムという作品から離れつつあった青年層のファンを再び取り込んだ。若年層に対しては講談社発行の雑誌『コミックボンボン』連載の漫画『プラモ狂四郎』にてパーフェクトガンダムやフルアーマーガンダムを登場させる事で支持を獲得した。当時、商品化された機体以外にも様々なデザインや文字設定が起こされており、ガンダム4号機などは文字設定のみだったが、後になって大河原邦男モビルスーツコレクションでデザインが描き起こされ、更に近年になって初めてプラモデル化されている。
この後に制作される各作品においても、「モビルスーツバリエーション」という手法で幾つもの機体が作り出される。また、以前に「モビルスーツバリエーション」として作り出された機体がアニメに登場している事もある。『機動戦士Ζガンダム』では藤田一己のデザインによるΖ-MSVがあり、『機動戦士ガンダムΖΖ』ではディザートザクやアイザックなどの本来ならMSVに分類される機体が登場している。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のCCA-MSVではプラモデルの組み立て説明書と、明貴美加のデザインしたものがMS大百科で展開されたものがある。またバンダイが発行していたSDクラブでは大河原邦男の手による大河原邦男モビルスーツコレクションがある。『機動戦士ガンダムF91』にはプラモデル展開もされた外伝『機動戦士ガンダムF90』と『シルエットフォーミュラ91』があり、講談社のガンダムマガジンでも本編モビルスーツのバリエーションが展開された。『機動戦士Vガンダム』ではバンダイがV-MSVの小冊子を刊行していた。
なお、「モビルスーツバリエーション」に対して、アニメに登場するモビルスーツのことを「モビルスーツオリジナル」 (MOBILE SUIT ORIGINAL: MSO) と呼び、『モビルスーツバリエーション』シリーズ及び『MS-X』シリーズと共通するロゴも作られているが、こちらの呼称はほとんど普及していない。

商品としてのMSV

第一期ガンダムブームと同時に、ガンダムのプラスチックモデル(以下ガンプラ)は爆発的な売れ行きを見せた。しかし、その結果、作品内に登場したほとんどのモビルスーツをプラモデル化してしまったため、新規に製品を投入出来なくなるという問題が発生した。そこで、当時アニメ雑誌などで流行を見せていた、既存モビルスーツの試作タイプや改造タイプといった設定を借用する事で、新たなモビルスーツをプラモデル製品として商品化すべく、企画されたのがMSVシリーズである。なお、MSVシリーズプラモデルの商品は新規金型で製作されている。
バンダイのこの戦略は功を奏し、ガンプラのさらなる発展とともに、ガンダムの作品世界をさらに深く掘り下げるきっかけとなった。このMSV戦略は、ガンプラのマーケティングにおける標準的な手法として定着していく事になる。
このシリーズによってガンプラは初期シリーズのフォーマットから離れたブランドとして確立され、従来シリーズとは一線を画したディテールやパッケージ・価格帯が可能になった。また、それに伴う新技術の投入も行われるようになった。

未登場モビルスーツ(試作メカ)

アニメ『機動戦士ガンダム』の初回放映終了後に発売されたプラモデル(通称「ガンプラ」)シリーズは大好評で、作中に登場するモビルスーツや艦船が次々とプラモデル化され、店頭に並んだ。劇中に登場するモビルスーツやモビルアーマーの全種類、主要艦船までもがプラモデル化された後もその人気はやまず、このブームを終わらせないためにいくつかの手段が考え出された。
ブームを継続させる一つの方法が、『機動戦士ガンダム』の未使用原稿に原案が記載されており、サンライズ(当時は日本サンライズ)発行の書籍『機動戦士ガンダム記録全集』にて発表されていたアッグ、アッグガイ、ジュアッグ、ゾゴックを「未登場モビルスーツ」シリーズ(「試作メカ」シリーズ、「没メカ」シリーズとも)としてプラモデル化することだった。アニメ作品に登場した設定だけでは、もはや商品展開を続けることができなくなっていた。
誕生の経緯から、これらの機体のプラモデルのパッケージは、アニメ作品に登場していないにも関わらず、『機動戦士ガンダム』シリーズのそれと同一の構成がなされることになった。このようにアニメに登場しないキャラクターを製品化することは当時としては非常に珍しいことであり、絶対に成功しないと考えられていたため、バンダイにとってこれは大きな賭けだった。マイナーさゆえに、広告やポスターには「機動戦士ガンダム記録全集(日本サンライズ発行)に紹介された未登場モビルスーツです」といった注釈がつけられるなど、宣伝にも工夫が行われた。
当初は待望の新MSという事もあり、没メカは画面に出ないだけでちゃんとジャブロー攻略に用いられたという設定になっており、その為後のMSVの時期に実戦においてパーツを換装した機体(アッグ武装型など)のイラストが描かれ、『テレビマガジン』にはセル画の絵物語でアッグガイ&ジュアッグとガンダムの交戦が描かれ、テレビ未登場機のハンディを埋める為の展開が成された(後のMSV時期に4機チームのトンネル掘削による強襲作戦は行われなかったと設定され、特務モビルスーツという名称がつけられた)。
「未登場モビルスーツ」シリーズは1/144スケールだけではなく1/100スケールも販売され(1/100ジュアッグも発売予定はあったが中止)、十分といっていい成績を残した。『モビルスーツバリエーション』シリーズの発売を検討していたといわれるバンダイにとって、その前段階的存在と見ることもできる当シリーズの成功は、『モビルスーツバリエーション』シリーズの販売は商業的に可能という自信を与えた。

モビルスーツバリエーション

最初の『モビルスーツバリエーション』シリーズは、バンダイによって立ち上げられた企画と思われがちだが、実際には講談社が、書籍『劇場版 機動戦士ガンダム アニメグラフブック』を原点として、雑誌『テレビマガジン』や『コミックボンボン』で独自に行っていた、「ザクバリエーション」などの展開を基本としている。また、プラモデルシリーズだけの名称という認識も正しくはない。元々、アニメに登場しない知名度の低い機体を販売するためには、雑誌連載や書籍による宣伝活動を欠かすことはできない。そのため、正式には各雑誌おける模型や設定の記事と、それをまとめた資料集、そして実際の商品であるプラモデルシリーズを総称したものが、企画名としての『モビルスーツバリエーション』である。
プラモデルシリーズとしての名称は商標として『機動戦士ガンダム』の表記が必要なため、プラモデルのパッケージや広告では『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション』(機動戦士ガンダムMSV、MOBILE SUIT GUNDAM/MOBILE SUIT VARIATION, MOBILE SUIT VARIATION GUNDAM)と表記された。ほかにも、『機動戦士ガンダム』シリーズの作品である事を強調しないと売り上げに支障があること、『戦闘メカ ザブングル』などの他作品のプラモデルを区別する必要があるという理由もあった。いわゆるMSVのロゴも、パッケージでは『機動戦士ガンダム』のロゴと組み合わせたもののみが使用されており、しかもパッケージ側面のみでしか使用されていない。なお、第2期以降に発売された1/100スケール以上のパッケージ上面においては「MOBILE SUIT VARIATION」(モビルスーツバリエーション)という表記のみが使用されるようになったが、これは「モビルスーツバリエーション」という言葉が顧客に十分浸透したと判断されたためであろう。
また、当時は「MSバリエーション」という略表記もよく使われ、プラモデルパッケージでも使用されているが、現在では「MSV」という略称が十分浸透しているためか、ほとんど使用されなくなった。また、場合によっては「モビルスーツ・バリエーション」や「モビルスーツヴァリエーション」「モビルスーツ・ヴァリエーション」などと表記されたこともあり、後には「M.Sバリエーション」「M.S.V」などと表記された事もあるが、これはバンダイが一時期、モビルスーツを「M.S」、モビルアーマーを「M.A」と略すことがあったためである。
プラモデルシリーズとしては、『機動戦士ガンダム ノーマルタイプ』シリーズ(MOBILE SUIT NORMALTYPE GUNDAM)、『機動戦士ガンダム リアルタイプ』シリーズ(MOBILE SUIT REALTYPE GUNDAM)に続くシリーズ第三弾とされた。それぞれが「ノーマルタイプガンダムシリーズ」「リアルタイプガンダムシリーズ」と呼ばれるのに合わせて「バリエーションタイプガンダムシリーズ」と表記される事もあった。
関連作品として、プラモデルを題材とした漫画『プラモ狂四郎』があり、『モビルスーツバリエーション』シリーズと連動して絶大な人気を誇った。作中に登場するプラモデルの制作方法や改造例、また失敗例などのエピソードは実際の製作現場で使われた方法や起こったことを多く取り入れている。ほかにも、『モビルスーツバリエーション』シリーズ内で設定されたエースパイロットを描いた漫画『エースパイロット列伝』もあり、これは後に漫画『機動戦士ガンダム MS戦記』に発展した。

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